結婚という人生の一大イベントには、多くの準備や儀式が伴います。
特に日本の伝統的な婚礼習慣には、費用や形式に細かなルールがあり、両家にとって大切な意味を持ちます。
その中でも「結納」は、婚約を正式に取り交わす重要な儀式です。
結納には数多くの作法やしきたりが存在し、形式を誤ると「礼儀を知らない」と受け取られてしまうこともあります。
なかでも多くの人が迷うのが「結納返しの目録」です。
本記事では、結納返しの目録の正しい書き方、注意点、文例、現代的なアレンジ方法まで、徹底解説します。
この記事を読めば、結納返しに関する不安を解消し、安心して準備を整えることができます。
結納とは何か?その意味と役割
結納は、古くから日本に伝わる婚約の儀式で、男性側の家から女性側の家へ結納品を贈ることで「婚約の証」とするものです。
結納品には金銭(結納金)のほか、家や子孫繁栄を願う品々が含まれます。
形式は地域や家の慣習によって異なりますが、「両家の絆を結ぶ儀式」である点は共通しています。
結納には以下のような意味があります。
- 婚約を公式にする意味: 両家が婚約を認め合う証。
- 両家の交流を深める意味: 結婚を通じて親族同士の絆を強める。
- 繁栄と幸福を祈願する意味: 結納品の品目にはそれぞれ吉祥の意味が込められる。
そして、男性側から結納を贈られた女性側は、そのお礼として「結納返し」を行います。
このとき、返礼品を明記する文書が「結納返しの目録」です。
結納返しの目録とは?
結納返しの目録とは、女性側が結納返しとして用意した品物や金銭を一覧にまとめ、正式な形で男性側に渡すための文書です。
形式を守ることで「きちんとした家柄」という印象を与え、両家が安心して婚約を進められる効果があります。
単なるリストではなく、目録は「礼を尽くした正式な記録」という役割を持ちます。
現代では簡略化するケースも増えていますが、伝統的なしきたりを尊重するご家庭では、必ず準備するべきものです。
結納返しの目録の基本的な書き方
目録は縦書きで作成するのが基本です。
筆または筆ペンを使用し、正式な雰囲気を大切にしましょう。
書き方の流れは次の通りです。
- 右端の最上部に「目録」と記載。
- 結納返しとして贈る品物を列挙。
- 文末に「右之通幾久敷芽出度御寿納被下度候也」と記載。
- 日付を記載(元号を用いる)。
- 贈り主(女性側)の名前と、受け取り手(男性側)の名前を記載。
ここでのポイントは、ひらがなやカタカナを使わず、漢字で正式に記すことです。
また、日付は「令和〇年〇月〇日 吉日」とし、西暦は避けます。
文末の定型文の意味と注意点
結納返しの目録には、文末に「右之通幾久敷芽出度御寿納被下度候也」と記します。
この一文には「上記の通り、末永くおめでたくご受納ください」という意味が込められています。
ここで注意したいのは、現代文を使わず、伝統的な言い回しを尊重するということです。
間違って「右の通り幾久しくめでたくご受納ください」とひらがな交じりで書いてしまうと、格式が崩れてしまいます。
細部まで丁寧に仕上げることが大切です。
日付と名前の書き方
目録の最後には日付と名前を記載します。
このとき、日付は必ず元号を使用し、「吉日」を添えます。
たとえば「令和七年三月吉日」といった書き方です。
続けて、贈り主である女性側の名前を記し、最後に相手方の名前を書きます。
ここで重要なのは名義の一致です。
男性側が父親名義で結納を贈った場合は、女性側も親の名前で返すのが正式。
逆に本人名義で結納を受けた場合は、女性側も本人名義で目録を作成します。
名義の確認を怠ると「誰宛なのか」が曖昧になり、失礼にあたる場合があります。
事前に必ず両家で確認しておくようにしましょう。
金銭を含む場合の書き方と熨斗袋の扱い
結納返しに金銭を含める場合は、目録のほかに「熨斗袋」が必要です。
熨斗袋の表には「袴料」と記載し、内袋には「金〇〇円」と金額を明記します。
さらに裏面の左側には住所と氏名を書き入れます。
熨斗袋の扱いは結婚式の祝儀袋と似ていますが、意味が異なります。
金額を省略したり、名前を略したりすることは絶対に避けるべきです。
形式を守ることで、相手に対して誠意と礼節を示すことができます。
結納返しの目録の文例
実際の目録の文例を以下に紹介します。
これはあくまで参考ですので、自分たちの状況に合わせて調整してください。
- 目録
- 記品一式
- 記金一封
- 右之通幾久敷芽出度御寿納被下度候也
- 令和〇年〇月〇日 吉日
- ○○家
- △△家
このように、簡潔でありながらも礼を尽くした形を取るのがポイントです。
余計な言葉を加えず、伝統的な文体を守りましょう。
地域ごとの違いと現代的なアレンジ
結納や結納返しの形式は地域によって違いがあります。
関東では「結納返しは結納金の半額程度」が一般的ですが、関西では「同額を返す」のが慣例です。
また、最近では両家の話し合いにより「結納返しを省略する」「旅行券や記念品にする」といった柔軟な対応も増えています。
ただし、いずれの場合も目録を用意することで、形式が整い安心感を与えることができます。
伝統を重んじる家柄であれば、必ず目録を作成しておくことをおすすめします。
事前準備と確認すべきポイント
結納返しの目録を準備する際は、以下の点を事前に確認しておくと安心です。
- 名義の統一: 男性側と女性側で誰の名前を用いるかを揃える。
- 書式の確認: 縦書き、漢字表記、筆を使うのが基本。
- 品目の明確化: 金額や品物をあいまいにせず明確に記載。
- 日付の形式: 元号を用い、「吉日」を添えるのが一般的。
- 熨斗袋の準備: 金銭を含める場合は必ず用意する。
これらを守ることで、失礼のない、格式ある結納返しを行うことができます。
まとめ
結納返しの目録は、単なるリストではなく「礼を尽くすための正式な記録」です。
縦書き、漢字表記、定型文の使用、日付や名義の統一、金銭を含む場合の熨斗袋など、守るべき形式が数多くあります。
しかし、それらをきちんと整えることで、相手方に誠意を伝え、両家の絆を深めることができます。
大切なのは「相手を思いやる気持ち」と「伝統を尊重する姿勢」です。
本記事を参考に準備を進め、安心して結納を迎えてください。